Home > 第2 保証債務 > 7 連帯保証

7 連帯保証 

(1) 連帯保証制度のありかた

連帯保証人は,催告・検索の抗弁が認められず,また,分別の利益も認められないと解されている点で,連帯保証ではない通常の保証人よりも不利な立場にあるが,このような連帯保証制度が存在することについて,保証人保護の観点から問題があるという指摘がある。 実際の取引において保証が用いられる場合のほとんどは連帯保証であるといわれているが,連帯保証制度に対するこうした指摘を踏まえ,その制度の在り方や見直すべき点についてどのように考えるか。

[意見] 自然人は,保証能力を否定するべきであることは既に述べたところであるが,少なくとも「連帯」保証は否定すべきである。

[理由] 実務上,不動文字で連帯保証人とするということが,補充性を前提とした保証という一般的な意識と乖離がある。従って,原則として自然人の保証を否定するべきであるとともに,「連帯」保証人となることは否定すべきである。また,既に述べた自己査定に関しても「連帯」の有無で査定を変えているものではない。

連帯保証は,連帯まですることのリスクを十分に把握できる機関保証に限定するべきである。

(2) 連帯保証人に生じた事由の効力

民法第458条は,連帯保証人について生じた事由の効力について,連帯債務者の一人について生じた事由の効力等に関する同法第434条から第440条までの規定を準用している。もっとも,連帯保証人には,連帯債務者と異なり負担部分がないことなどから,実質的に準用の意義を有するのは,履行の請求が絶対的効力事由であることを規定する同法第434条のみであるとされている。

しかし,連帯保証人に対する履行の請求の効果が主債務者にも及ぶものとすること(同法第458条,第434条)に対しては,主債務者の関与しない連帯保証契約によって主債務者が不利益を受けるのは不当であるとの批判もある。 この点について,どのように考えるか。

[意見] 連帯保証人に対する履行の請求が主たる債務者に及ぶことは反対。

[理由] 主たる債務者の関与しない連帯保証人を徴収することで,その連帯保証人に対する効力が主たる債務者に及ぶというのは不当である。

民法改正(債権関係・債権法)に関する意見書です。ご自由にご覧ください。