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8 根保証

根保証に関しては,平成16年の民法改正により,主たる債務の範囲に金銭の貸渡し又は手形の割引を受けることによって負担する債務(貸金等債務)が含まれるもの(貸金等根保証契約)に対象を限定しつつ,保証人が予想を超える過大な責任を負わないようにするための規定が新設されたところである(同法第465条の2から第465条の5まで)。

この点については,さらに保証人保護を拡充する観点から,例えば,主たる債務の範囲に貸金等債務が含まれない根保証にまで,平成16年改正で新設された規定を及ぼすという考え方や,判例によって認められているいわゆる特別解約権を明文化するという考え方があるが,どのように考えるか。

[意見] 根保証の被担保債権を貸金等根保証契約以外の金銭債権に広げるべきことは賛成する。 また,元本確定事由として現行法は不十分であるため,一般的な確定事由を規定すべきである。 同時に,民法398条の7と同様の規定を設けるべきである。

[理由] 根保証契約の被担保債権については,貸金等以外にも想定しうるところ,かかる債権についても保証人を保護すべき点は同様である。よって,これを一般的に広げるべき点は当然である。また,元本確定事由ににつては,現在の規定以外にはおよそ確定事由が存しないと解される余地もあり,極めて不十分である。よって,一般的な確定事由を規定するべきである。

更に,根保証の場合,主たる債務者に対する債権が譲渡された場合に,随伴性を有するか否かについて,明確な規律がない。理論的には,確定前の根保証の場合,根抵当権と同様に随伴性が無いと解すべきであるが,明文の規定を欠いており不十分である。 よって,この点も明確にすべきである。

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