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6 共同保証―分別の利益

民法第456条は,複数の保証人が保証債務を負担する場合(共同保証)に,各共同保証人は,原則として頭数で分割された保証債務を負担するに過ぎないことを規定する(分別の利益)。

しかし,これに対しては,債権者は,保証の担保的効力を強めることを期待して保証人の数を増やすはずであるのに,この規定が適用される結果として,一人の保証人に対して全部の履行を請求することができなくなるばかりか,共同保証人の中に無資力の者がいると,その部分の担保を失うことにもなり,かえって保証の担保的効力が弱くなるという問題点が指摘されている。

このような観点からは,分別の利益を認めずに,数人の保証人があるときには,各共同保証人は全額について債務を保証する(保証連帯)こととするという考え方があるが,他方で,保証人保護を後退させる方向で現状を変更すべきでないとする見解もある。 この点について,どのように考えるか。

[意見] 共同保証における分別の利益制度は維持すべきである。

[理由] 保証契約をどのような法形式でとるべきかという問題であり,分別の利益を否定する必要は無い。

民法改正(債権関係・債権法)に関する意見書です。ご自由にご覧ください。